コミュニティ運営に限った話ではありませんが、あらゆる面で“率”崇拝者が陥る罠についてシェアしておこうと思います。
hikkyusan@コミネトです。よくメディア運営において、「○○率」という指標が、計測値として用いられますが、この数値に惑わされると、本来の目的を忘れがちになるので、改めてシェアしておきますね。
“率”の前に”数”が大事。
言い換えると、
質より数(量)が大事。
です。
もちろん“率”や“質”も大事です。でも、モノにはモノの順序があるんです。
イチローが目指したのは首位打者ではなく200安打
イチロー選手の例で説明すると分かり易いですね。イチロー選手と言えば、年間200本安打という半端ない偉業を達成し続けてきた名選手ですが、彼が語っている言葉にその秘訣が見えます。
(打率より)ヒットを一本増やしたいとポジティブに考えるのです。そう思っていれば打席に立つのが楽しみになりますよね。
打率は上がったり下がったりしますが、ヒットは減ることはなく着実に増えていくものです。
裏を返せば、「率は操作できる」ということです。
最近でこそ減ってきたと思いますが、シーズン終盤になって首位打者争いをしていると、規定打席に達している選手が極力打席に立つ回数を減らして率を維持しようとしたりします。下手に打率を下げる確率を減らしているんですよね。
これ、思いっきり操作していますよね。
でも、打席に立たなければヒットの数は増えない。ここにコンバージョン率を重視している際の落とし穴があるんです。
売上は“購買率”ではなく“購買数”で決まる
売上も一緒ですよね。例えば、サイトに訪れた人のうち、購入した人の割合をコンバージョン率として計測することが多いですが、以下の2つだったらどちらが良いですか?
A)コンバージョン率:10%
B)コンバージョン率:1%
ここで単純にA)と答えた人は、これから先をじっくり読み進めてください。そうでない人はさらっと流し読みで…笑
実は、上記の問い掛けですが、これだけでは判断できません。何故なら、母数が分からないから。
では、仮に、以下のような母数だったとするならば、どう判断しますか?
A)10人中1人が購入
⇒コンバージョン率:10%
B)1,000人中10人が購入
⇒コンバージョン率:1%
同じ商品やサービスを売っていた場合、どちらが売上が高いですか?
もちろんB)ですよね?売上はA)の10倍ですよ?!
実際に見なければならないのは、“購買率”ではなく“購買数”です。
売上を決めるのは“数(量)”ですから。
ここで売上の方程式を思い出して欲しいのですが、
売上
= 顧客単価 × 顧客数 × 顧客年齢
ですよね?
コンバージョン率(購買率)ってどこに入ってますか?
コンバージョン率はあくまでも顧客数を高めるための指標に過ぎない。
コンバージョン率という数値は、“母数”という土台があって初めて意味を成します。
※今回は、コンバージョンの獲得コストは話を単純化するために省略しています。
まとめ
売上に直結する数字は何か?
⇒購買数
その数字を高めるために必要な数字は何か?
⇒コンバージョン率
こう見てくると、まずは質より数(量)を追求していくことが大事、という意味が分かるかと思います。数(量)を追求していく中で、創意工夫をしていきながら、質が高まっていくのが自然です。
購買数を増やすために、コンバージョン率を高める創意工夫をする。
コンバージョン率を高めるのは、それ自体が目的なのではなく、購買数を高めるためのプロセスの一つです。率のマジックに惑わされないように、見るべきポイントを意識しておきたいですね。
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